ホーム > 器材 > レギュレーター > アトミック / Atomic T25 レビュー

アトミック / Atomic T25 レビュー

アトミック Atomic T25

アトミックT25をトライアングルで初使用してきましたので、忘れないうちに感想を書いておきます。ちなみに素材以外はアトミックT3と同じですので、T3検討中の方にも参考になるかと。

ちなみにライセンス講習の時からずっと使っているのは、APEKS XTX タングステン。恐らく世界最高峰のレギュレーターで、いままで同じモデルを使っている人を見たことが無い。テクニカルダイビングの技術が詰め込まれているので大深度へ行っても吸い心地が変わることはなく、いつでも陸上にいるかのような呼吸ができる。だから一度も不満を感じたことはない。

そもそもどうしてアトミックなのかというと、与那国でアトミックT3を使っている友人に、「これ吸ったら他の吸えないですよ」と、何かイケナイ葉っぱでも勧められたかのような解説を受けてしまったら気になり始めてしまったのだ。自身が使っているレギュレーターが最高峰であることに間違いはないが、アトミックT3はそれを凌駕する唯一のレギュレーターであることも知っていた。海外のレビューには「海中でこの2モデルの区別ができる人はいないだろう」などと書かれていたのを見たこともある。

アトミックT25 が欲しい!

気になってしまうと自分で試してみなくては気が済まない性格なのは皆さまご存じの通り。という訳で、「T3って幾らで買えるの?」と、海外のサイトを見回っていたら、この25周年モデルを見つけてしまったのだ。チタンカラーというのはバイク乗りには堪らなく魅力的に見えてしまうもので、ひと目これを見た途端、一気に物欲が爆発してしまった。調べてみると、通常モデルの T3 の国内価格は30万円ちょいなのに対し、海外サイトで見つけたこのAtomic T25 は2,800ドルだった。海外通販すれば国内で T3 を購入するのと大差ない値段で買えるはず。と、高を括っていたらウクライナで戦争が始まりドル円相場は乱れに乱れ、円安方向へ一気に10円以上も動いてしまった。

アトミックT25 の価格!

現物が見たくなって mic21 に行ってみたらありました。けれどアクリルケースに囲われていたので触ることは出来ません。というかなんだこの価格設定は。海外の定価2800ドルに対して55万円って、やはり日本の値付けはエグイな。通常だったら確実に海外通販するんだけど、これだけ円安になると国内で仕入れてもあまり変わらないかもしれない。念のため店員に「本気で買う気なんだけど幾らまで下げられる?」と聞いたら全然高くて話にならなかったので、独自に仕入れられないか調べてみることにした。

アトミックT25 が届いた!

アトミック Atomic T25

で、結局買ってしまいました。たまたま別で購入していたインフレーターオクトパスを取り付けた翌日にアトミックT25も届きました。心当たりの知人に連絡をして見積りを取って「欲しいんだけど」って言ったらお金払う前に送られてきてビックリしました。先出ししたいただいて恐縮です。ちゃんとお金は今日振り込みました。でも週末のダイビングに間に合って良かった!使うのが楽しみ。

という訳でアトミックの仕入れルートができました(笑。かなりお安く提供できますので、興味のある方はご連絡を。

アトミックT25 (T3)レビュー

まあとにかく手に入れて使ってみた感想ね。1ダイブ目。強烈な違和感。なにかオートマティックなアシストが入っている感じ。これはメルセデスに乗っていた私が、初めてアウディのハンドルを握った時に感じたものとそっくり。自然に振舞っている介入の存在を、ハッキリと感じてしまったあの感じ。国産車からアウディに乗り換えたら高級感しか感じないだろうが、メルセデスとアウディのハンドリングを比べれば明らかに味付けが違うのが分かるというもの。同じように大衆モデルを使っている人がアトミックを吸えば「凄い!吸いやすい!感動!」となるのだろうが、 APEKS から Atomic に乗り換えると、その味付けの違いを感じることができる。私はこれを違和感として感じ取ってしまった訳だ。

ほんの僅かにハンドルを切り始めると、スッと消える抵抗感。あのアウディの過度なアシストに似ている吸い心地。少し吸えば少し、沢山吸えば沢山入ってくる空気。あたかも自分で吸っている様に見せかけて、しっかりアシストが入っているので、吸ったときに抵抗感がない。吸いやすいと思う人もいれば、過度な介入と感じる人もいる。そう考えると、何の感想も浮かばない APEKS は、至極優秀だったのだと気づく。浅くても深くても何も感じない。いつだって陸上にいるような自然な吸い心地。吸う方と吐く方の流量を個別にノブで調整できるから、水中で好みのセッティングを出すこともできる。抵抗感のない軽い吸い心地ながら、自分で吸っている感があるのは、適度な重さのあるメルセデスのハンドリングにやはり似ている。しっかりとアシストは入っている筈だが、そこには自分で運転している感があるのだ。

初めて使った翌日に書いているので、このような感想になっているが、半年とか1年とか使ったあとでは、「これは手放せないベストモデル」とか言って、全然違うレビューになっているかもしれない。とにかくまだ3ダイブしかしていないので結論には至らないが、確かに比類なきレギュレーターなのは理解できた。

さて、気になった点が幾つかある。まずは重量の問題。APEKS に比べるとかなり軽い。Atomic SS1 を同時に導入したので、今回はオクトパスを省略してセッティングしてみた。すると安全停止で少し浮き気味になった。これは器材重量が軽くなったことに起因すると見ている。500グラムくらいウエイトを増やせば解決するが、せっかく器材が軽くなったのにウエイト積むのでは、少し残念な気がする。500グラムのウエイトなんて船に積んでないから、自前で持って行くしかない。若しくは1キロを積んで、500グラムオーバーで我慢するかだ。

アトミックT25 (T3)気になる点

そして最も気になったのは、エアの消費量が増えたのではないかということ。通常、トライアングルの大深度で数回ダッシュをしても、ダイビング終了時のエアは100を切る程度は残っている。まあフィーバーしすぎて 50 を切ることも確かにあるが、それは稀だ。しかし今日は3本とも 50 近くまで残圧が減っていた。アトミックのホースは他メーカーのものに比べると明らかに太い。アトミックのレギュレーターが吸いやすいのは「沢山空気を供給しているからではないか?」という疑念に思い至った。もちろん、あと何回も使用して検証してみる必要はあるが、吸いやすさの原因が空気の過供給ということであれば自分にとっては大問題。ターボを積んでパワーが出る代わりに燃費が悪くなるのと同じ原理で、吸いやすさの代わりにエアが減るというトレードオフを迫られるのであれば、いままでの自然な吸い心地でエアも減らない APEKS のレギュレーターに分がある。だがしかし!このアトミック25周年モデルはメチャクチャ高かったので簡単に使うのをやめる訳にはいかない。というジレンマが既に発生しているのは言うまでもない。

アトミックT25 良いところ

良いことも書いておこう。まず、軽いセカンドステージ。優秀なスイベルと相まって装着感が良く、引っ張られる感が全くない(APEKS にもスイベルは付いているが、こちらはセカンドステージ側にしかスイベルが付いていないので、時々邪魔な感じがすることがある)。筐体がコンパクトなので、真下を向いて全力ダッシュなんていうシーンで、水抵抗が減っているのも嬉しい。

それとこれはメリットなのかデメリットなのか分からないが、ちょっと目立ってしまいすぎるキライがある。普段、誰も他人のレギュレーターなんて気にしないものと思っていたが、たった 1日で 2人もの人に「あれ?レギュ変えた?」「それ、高いやつでしょ?」と指摘されてしまった。ドリフトのピックアップ待ちで、前の人のファーストステージが目の前にある。なんていうシチュエーションでは、この虹色に輝くチタンカラーは存在感が有りすぎるのかもしれない。

追記
暫く使ってみて、やはりエアの減りが早いことが分かった。アトミックの吸いやすさはホースの太さから見ても分かるように、エアの過給によるものだった。魚群を探してダッシュするエクストリームな自分のダイビングスタイルには見合わないので、このT25は「オクトパス」に格下げとした。きっと世界一ゴージャスなオクトパスだろう。いまは APEKS XTX タングステンのセカンドステージを、アトミックのファーストステージに繋いで使っている。

但し、このエア減り問題については普通の方はまったく参考にする必要はない。何故なら我々はかなり深い所まで行くし、しかもそこでダッシュしたりという特殊なダイビングをしていて、ときどき残圧が18とかになったりもするので、エア持ちについてはかなりセンシティブになっているだけなのだ。このレギュレーターは普通の人にはとても快適なものだし、世界最高峰であることは間違いがないので安心して選択して欲しい。

オーバーホールについて

アトミックのチタンモデルのオーバーホールは、メーカーから2年に一度で良いとされている。そして初回のオーバーホールは工賃と交換パーツが全て無料だ。購入から2年が経ったらオーバーホールに出そうと考えていたのだが、別件でショップに預けたところ、「中は結構汚れているので早めにメンテナンスはした方がよい」とアドバイスを受けた。

2年に一度で良いのは本体がチタンで腐食に強いからであって、パッキンなどパーツの汚れやダメージなどは普通に受ける。年に数十回程度のダイバーであれば問題はないだろうが、年間100本以上潜るのであればやはり通常のペースでオーバーホールに出した方が良いと思う。

このページが 役に立ったり面白かったら 評価をお願いします。
星1星2星3星4星5(評価: 4.67 - 12票)
Loading...
Category: レギュレーター

コメントを書く

Your email address will not be published. Required fields are marked *

CAPTCHA